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お客さまとの距離

「きく」を究めよう!広場 きくスキル研究会

目次

電話の向こうの“お客様との距離”

唐突な質問で恐縮ですが、皆さんは電話の向こう側にいらっしゃる“お客様との距離”はどのくらいだと思いますか?この質問をすると「そんなこと考えたことないです」という回答が多く返ってきます。

電話の相手が家族や友人の場合は、こんな質問は不要です。声を聞いただけで誰かがわかりますし、当然、相手の顔が浮かんでいます。この状況は相手との距離がわかっているので意識する必要はないのです。コールセンターでは、お会いしたことのない相手だからこそ、顔が見えない相手だからこそ“お客様との距離”が大切なのです。今日は、この“お客様との距離”について考えてみたいと思います。

“受話器”と話していませんか?

コールセンターに電話をしたときに、人と話している印象がなく、機械のような応対だと感じたことはありませんか? 私は時々感じます。機械までの印象はなくても、自分のペースで早口に一方的に話す応対は多々あります。これはコミュニケーターが“お客様との距離”を意識できていないことに原因があると思うのです。この“距離感”を意識するためには、電話の向こうのお客様を想像し、認識する必要があります。

日常生活では、目で見て相手との距離を測っていますので、すぐ隣の席に座っている人に話しかけるときと、席が離れたところにいる人に話しかけるときでは、声の大きさも話すテンポも違います。声が届くように、距離が遠いほど少し大きな声でゆっくりと話しているはずです。
しかし相手が見えない電話応対では、この距離感に無頓着な人が多くいます。まるで受話器の送話口に、お客様が小さくなって入っているかのような話し方をする人。口先だけで話していて声が小さく、開口が悪いので早口になります。お客様にどのように聞こえているかを考えず、とにかく自分のペースで送話口に話しかける。貴社の職場にそんな応対者はいませんか?

“お客様との距離”は120cm

さて先ほどの質問です。「電話の向こう側にいらっしゃる“お客様との距離”はどのくらいだと思いますか?」
私は「120cm」と教わりました。電話では、席に座って相手と向かい合い、両手を伸ばしてぶつからないくらいの距離。これが120cmです。ビジネスでは、この120cmは様々な場面で意識する距離です。例えば、初めてお会いした方と挨拶をする時の立ち位置は120cmです。この距離では名刺交換ができないので一歩近づいて名刺を渡しますが、お辞儀は頭がぶつからにように一歩下がって元の位置でします。これが初めましての“挨拶の距離”です。
マナーには必ず理由があるとおっしゃっていますが、この説明を聞いて、「なるほど」と納得しました。電話は座っていますので、立った距離よりも相手を近くに感じますが、これが“お客様との距離”なのです。受話器と話すのではなく、120cm先のお客様を想定して話しかける声の大きさや速度が適切で、この距離感で会話のキャッチボールをすることが電話応対には必要な要素です。この感覚が掴めないと、声が小さくなったり、大き過ぎたりします。そして何よりもお客様に語りかけている印象が感じられない応対に聞こえるのです。貴社のコールセンターでも、ぜひお試しください。

馴れ馴れしい応対をしていませんか?

“お客様との距離”を測るのは、物理的な距離感だけではありません。言葉づかいでも距離感は重要です。
例えば敬語です。敬語はどのような相手と会話をするときに使うのかを指導されていると思います。相手と「差」や「距離」がある場合に使います。「私はあなたと差(年齢や立場、あなたがお客様であることなど)があることを知っています。その上で対等にお話しするために敬語を使っています」「私はあなたと先日お会いしたばかりで、それほど親しい関係ではありません。まだ「距離」があることを知っていますので敬語を使ってお話します」など。
“お客様との距離”をしっかり捉えられないと、「そうですよね」「あーわかりました」「そこは何とかお願いしますよ」など、いわゆる“ため口”の会話になります。自分はそんなつもりがなくても、お客様が馴れ馴れしいと感じる応対です。電話の相手は“お客様”であることをしっかりと認識し、“お客様との距離”を確認し、意識することが大切です。

想像力で“お客様との距離”を測る

最近の電話応対に求められる要素は「きれいな応対」ではなく、「お客様に伝わる応対」「お客様に寄り添う応対」といわれています。私は個人的にこの考え方を歓迎しています。
少し前まではトークスクリプトに沿った応対が重視されていました。そのため、立て板に水のごとく流暢に話すけれど、心が伝わっていないために電話を切った後に会話を思い出せない応対や、逆にスクリプトを棒読みするだけで意味が伝わりにくい応対などがありました。全員の電話応対をあるレベルまでスキルアップするには、トークスクリプトは結果を出せる重要なツールです。でも、それ以上の顧客満足や感動を生み出す応対はトークスクリプトだけではできません。目指したいのは「お客様の心情を察知して寄り添う応対」ではないでしょうか。そのためにも“お客様との距離”について、物理的な(?)距離や言葉づかいなどから考えてみました。
電話応対で顧客満足度を高めるには“お客様との距離”を適切に測り、その距離感を持ってお客様に寄り添うことです。電話の相手の年齢はいくつか、どのようなお顔なのか、この電話で何をしたいかのかなど、お客様を具体的に想像することが必要です。

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