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コロナ禍で変わるコミュニケーション

人材育成の視点57  CCM(コンタクトセンターマネジメント)2020年4月号コラム

目次

プロフィール

クウォーターワン
代表取締役 窪田尚子
メンタルセラピスト(国際メンタルセラピスト協会認定)

教育コンサルタントとして、コンタクトセンターや顧客サービスの現場を中心に、企業や自治体の人材育成に携わっている。2004年に「きくスキル研究会」を立ち上げ、2015年まで活動。現在は研究会での成果をさらに深めたトレーニングや顧客に寄り添うスキルを実践中。顧客応対だけでなく、社内コミュニケーションなどコミュニケーション力の向上にも力を注いでいる。

コロナ禍で変わるコミュニケーション

新型コロナウイルスで世界中が大変な状況に陥っている。私たちを取り巻く環境も例外ではない。
そこで広がっているのがオンラインでのコミュニケーションだ。4月7日に緊急事態宣言が出て以降、テレワークやリモートワークをされている方は多い。友人も何人か在宅勤務になったという。逆のケースもある。友人のKさんは毎日出勤し会社でしかできない業務を担当しながら、テレワークのスタッフに指示を出し、スタッフから送られてきた書類チェックの管理作業をしている。今までは指示を出しながら表情などで理解を確認できたが、特に新人スタッフには改めて言葉やメールで確認する必要があるという。作成した書類もその場ですぐにチェックできていたが、オンラインでのやり取りがあり、結構これが手間だという。自粛を迫られ急遽スタートしたテレワーク業務だからこそ、実施して初めて見えてきた課題があるようだ。

例えば企業側の視点から2つ。1つは情報の共有と管理の難しさ。個人情報はもとより、業務での情報の扱いに不安がある。準備不足のままスタートしたことは否めず取り扱いに多少の課題がある。家族がいる自宅で機密を守り管理を徹底することのセキュリティの難しさもある。2つ目は新人育成やスタッフマネジメントの難しさ。会社では顔が見えていたので、ちょっとした言葉がけや確認ができていた。自分の仕事をしていても、スタッフは視野に入ってくるので状況に気づくことができていた。テレワークではこの“ちょっとした”変化や違和感に気づくことができず意思の疎通が図りにくい。確かに人は言葉だけではなくノンバーバルのコミュニケーションも併せて行っているのだ。スタッフの疑問や不安などをキャッチしフォローができないと育成は上手くいかない。孤立しやすい状況がここにある。

働く側の視点から、1つはオンとオフの切り替えの難しさ。今までは通勤やオフィス環境が気持ちの切り替えスイッチになっていた。ところが家にいると「さあ今から仕事をするぞ!」と思っても、日常の現実がそこにある。オフからオンへ移行するための物理的な条件やスイッチはなく、あるのは自分の意思だけ。更に仕事をしている所に家族やお子さんが入ってきたりもする。我が家の介入者は猫だ。キーボードに上がってきたり、開いたファイルの上でゴロンと寛ぐ。せっかく集中していた仕事が断ち切られる一番の要因だ。2つ目は気分転換。友人は「一人で仕事をしているとストレスがたまる。ランチやお茶しながらの同僚との他愛もない会話が大切だったんだね」と言う。仕事帰りの食事や飲み会もしかり。何気ないおしゃべりや美味しいものがストレス解消になっていた。

急速に広がるテレワークでのコミュニケーションは様々な課題を提示してくるが、新たな可能性を生み出してもくれる。仕事に限らずオンラインを使った飲み会、結婚式やお見合いサイト、英会話や音楽教室のレッスン。NHKでは新たなドラマ制作にチャレンジしていた。今までとは違うコミュニケーションが生まれている。効率化や生産性の向上だけでなく、人が人とコミュニケーションすることの意義や成果を考え賢く使いこなしていきたいものだ。

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